最近の不登校児の増加や、授業中に勝手に遊びだしたり、あたり構わず飲食する子などによる授業妨害や学級崩壊、かんしゃく的な暴力や突発的な凶悪犯罪など、その原因となるのは幼児期における脳の形成異常にあるとして、臨床データや実例をもとに解説した本。
著者の福島章医学博士は、精神鑑定医として多くの著名な事件を担当した犯罪心理学者。実際に凶悪犯罪を引き起こした青少年の脳を分析した結果、脳に何らかしらの異常があることから、それは幼児期の「脳」発育に起因するとして警鐘を鳴らすとともに、環境ホルモンの影響に対しても危惧している。
犯罪や非行を犯す人の多くが脳が不完全だと言います。犯罪者全体の中では、微細な脳障害を持つ人の割合は稀だが、犯罪者の中でも殺人事件などの重大犯罪ではその割合が多いそうです。福島博士は、自分の得た精神鑑定例を日本の殺人者全体に当てはめると、日本で年間平均1300人検挙される殺人者の約半分以上の約690人は脳の異常が考えられるとしています。
ただし、脳の形態に異常のある人が全て危険だという偏見は持つべきではなく、人生70年で換算すると、生涯殺人危険率は約4%で、1人の脳障害殺人者の背後には24人の人を殺さない脳障害者がいるそうです。
参考文献