自然(しぜん)
「自然」は、それだけで最良のおもちゃであり教材であり教科書です。
何事にでも興味を持ち、なんでも吸収してしまうこの時期ですから、我が子に与えるおもちゃや教材はもちろんの事、壁紙やカーテン、動植物の飼育、BGMなどいろいろ工夫をされている事でしょう。
ところが、家の中というのは、結局は人工の環境です。人間が作り出した環境ですから、自然の環境とかけ離れてしまう事もあります。
ちょっと外に出てみましょう。マンションの屋上でもかまいません。何が見えますか?
自然の中には人工では決して出せない微妙な配色が沢山あり、匂いもし、音も聞こえます。手触りもいろいろです。
葉っぱ一枚にしても、人間が作り出せるものではありません。
そうです、「自然」はそれだけで最良のおもちゃであり教材であり教科書なのです。
ただ単に、虫や花の名前をやみくもに覚えても、単語としての知識は増えますが、そのものの特徴を理解したことにはならず、意味がありません。大切な事は、
1:物事と物事がどのような関係にあるのか?
2:物事がどのように変化するのか?
3:どのように調べ学べば良いのか、その方法を知る事(実験・観察)。
朝日のまぶしさで目が覚め、日が高くなるに連れてどんどん明るくなっていき、一緒に気温も上がっていきます。雲が流れて日が陰り、夕方になれば空の色もどんどん変化していきます。
たった一日の中でも沢山のものが変化します。もう少し長い期間で見れば、小さな芽が大きくなって花開いたり、木の葉の色も季節によって変わります。
幼児は少しずつの変化を捉える事が苦手です。
また、「行っただけ」「見ただけ」の「その場だけの体験」にならないようにしたいものです。
だからこそ、子供のそばにいる親や指導者が意図的に繰り返して、変化に目を向けさていく事が必要なのです。
最良の教材「自然」を多いに利用しましょう。
まずは、お子さんと一緒に外に出かけましょう。都会のマンションに住んでいて周りに自然がないとか、花や虫の名前を知らないとか、そんな心配は要りません。
道端に咲いている小さな花を見て『かわいいね』『きれいだね』、大きなカラスを見て『びっくり』、陽が射してきて『あたたかいね』、影を見て『面白いね』、風が吹いて『気持ちがいいね』等々。そんな会話のやり取りから始めてみましょう。
「自然と触れ合う事」を一つの目的とし、お母さん自身が五感のアンテナをしっかりと張って感じた事を、我が子に伝えていけば良いのです。
四季の変化や行事・動植物・光と影・風・浮き沈み・磁石・天体など……「関係」「変化」に着目し、色々な方法(実感・観察)で調べる楽しさを体験させていきましょう。